元塾講師による本のご紹介ブログ。大学入試参考書がメインです。

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今日は有機化学のお話を。

有機化学で一番重要なのは構造決定の問題だ。
一定レベル以上の大学では、これができないと話になりません。
ポイントの一つは、「異性体をいかにもらさず書き出すか」ということ。
これには「不飽和度」という概念が有効なんで、今回はその紹介です。

「不飽和度」は「宇野の有機化学ゼミ」のp.18に書いてある。この本は有機の良い参考書なんだけど、今は絶版。


その代わりとして、次の本を紹介しましょう。(全部読み通すのはかなり辛いから、読んだ方がいい箇所を絞って紹介するぞ
駿台文庫「原点からの化学 有機化学 4訂版」

この本では、「不飽和度」という言葉は使ってないけど、同じ考え方を利用してる。
p.26の一番下に「[πか環]の数」と書いてあるね。これが「不飽和度」なのです。

「原点からの化学」とはちょっと違う計算法だけど(やってることは同じだが)、不飽和度は以下の式で計算できます。
不飽和度=(炭素原子の数×2+2-水素原子の数-ハロゲン原子の数+窒素原子の数)÷2
※酸素原子の数は不飽和度には影響しない。

※なんでこんな式が出てくるかは図を描くと分かるのだが、ここでは割愛。
(気になる人は「不飽和度」でググると説明がたくさん見つかると思う。
また、大学の有機化学では初歩の初歩だから、高校の先生に聞けば必ず知っている)
ただ少しだけ補っておくと・・・
環無し、全て単結合のアルカンだと「C_n H_2n+2」。単純な構造だね。これが不飽和度0になるように決めた。
上式の「炭素原子の数×2+2-水素原子の数」はここから来ている。




この不飽和度は、結合のおおまかな情報(環構造・二重結合・三重結合についての情報)を与えてくれる。
環構造は不飽和度が1
二重結合は不飽和度が1
三重結合は不飽和度が2
ベンゼン環は不飽和度が4

にあたる。
で、たとえば1つの分子内に環構造と二重結合が1つずつあったら、足し算をして、不飽和度は2です。
環が無く、全部単結合なら不飽和度は0です。


だから、の公式で不飽和度を計算してしまえば、分子内に含まれる環構造・二重結合・三重結合の数がわかります。
たとえば、
・不飽和度が1
→「環構造が1つ」 または 「二重結合1つ」
・不飽和度が2
→「環構造が2つ」 または 「環が1つと二重結合1つ」 または 「二重結合2つ」 または 「三重結合1つ」
となる。(こう書くと複雑だが、実際の入試問題では問題文の情報から構造が限定される)
・不飽和度が4だと、実際の問題ではほとんどの場合、ベンゼン環を含みます。



不飽和度を知ってると、異性体が非常にスムーズに求められる!!

難関大を目指す人は、
「原点からの化学 有機化学」のp.27-38に構造異性体の問題が載ってるので、解いてみるとよいよ。

この本は結構難しいから、使えるところだけうまく読むというのがいいと思う。
(第2章なんかは受験生が独学でやるとかなりきつい)
とりあえず、
p.23-43の異性体のところ
p.156-169の構造決定のところ

この二つがこの本の肝だ。(p.170-180も構造決定だが、難関大学用)
特に、p.23-43は有機物質の反応をよく知らない現役生でも出来るぞ。(パズル的に形を考えるだけだから)

異性体を書き出すのはとにかく訓練が大事。逆にいうと、訓練しだいで構造決定の問題は速く正確にとけるので、得点源になる

まずは「原点からの化学 有機化学」の上記部分を何度も反復して、しっかり考え方を身につけよう。
コツをつかんだら他の本(重要問題集など)でどんどん演習していこう!
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