元塾講師による本のご紹介ブログ。大学入試参考書がメインです。

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古文をやるにはまず単語・文法から!
高校の古文文法は暗記中心でつまらない~~と言って逃げていちゃだめだ。
センターでは文法が分かってないと高得点は取れません。私大ではなおさら。
国立大の、現代語に訳す問題でも、文法をふまえて訳さないとどんどん減点されます。

◆でも安心してほしい。
入試に出される文法問題はどんどん易しくなっている。
(演習は別として)高校の教科書程度がわかればいいんだ。でも、教科書の内容がわからない、というかやろうとしない受験生が結構多い。
その気持ちもわかる。教科書は簡潔で読みにくいからね。高校の授業でも文法は軽視されがちだし…
◆だから下で紹介する本で、基礎から文法を固めてほしい。
文法は古文学習の土台にあたるんで、高3の夏休みに入るまでには終わらせるようにしよう!!

◆学習法としては、文法は理論を学ぶだけじゃなくて、必ず問題演習をしないとだめ。
間違った問題は最低3回は繰り返して復習してほしい
理解&反復が文法攻略の王道だ。

なお、現在の入試では、特に「識別」というところがよく出るんだ。(センターでも好んで出される)
「識別」は応用にあたるし、文法の本では最後になることが多い。高校でも、そんなにやらないところもある。
現役生は手薄になりがちなんで、問題演習を意識してこなすようにしよう。



以下、参考書紹介。
説明中心の<解説本>と、問題演習中心の<演習本>に分けて紹介しました。

◆文法の基礎が怪しい人は、<解説本>からやろう。区切りのいいところまで進んだら、易しめの<演習本>を解こう。文法は問題演習をしないと身につかない。必ず問題を解くこと!!
(高校で文法の教科書が渡されている人は、簡単な確認問題がついていると思うので、それも合わせて利用しよう)
◆高校・予備校で文法を習った人は、いきなり<演習本>に取りかかってもいいぞ。下に、レベルごとに本をあげたので、参考にしてください。

★が多いほどおすすめ(最大5つ)



<解説本> ※下にいくほど難
望月光のいちばんやさしい古典文法の本(瀬谷出版)
★★★★★

イラスト付き、語り口調で読みやすい。高1・高2でも十分使えるぞ。僕おすすめの本。初心者向きだが内容的にしっかりしていて、高校の教科書や上級本に接続できるのが良いね。
見やすく、わかりやすく、量が適度。 ※ただ、練習問題が少ないので、ジャンプアップノートなどを併せて使ってね。
◆古文文法をどうやって勉強していったらよいか、学習法にまで触れられているのは独学者にとってありがたい
◆文法が苦手な人は、繰り返し繰り返し読もう。
とにかく古文文法ができない人はこの1冊から!

土屋の古文文法88(代々木ライブラリー)
★★★☆☆

◆解説本、というよりハンドブックのような感じ。
新書判でちっちゃくて、持ち運びに便利。文法のポイントが89項目に見開きでまとまってるぞ
◆それでいて、内容的には入試古文をほぼカバーできる。演習は他の本で行うこと。

土屋の古文公式222(代々木ライブラリー)
★★★☆☆

土屋の古文文法88の応用版。長年売れ続けただけあって、内容は安定してるし使いやすい。
・助動詞の意味の判定をどうするか?
・「てまし」「にけり」を品詞分解すると?
・「ずは」はどういう意味か?
など、文法問題のみならず、読解に生きる文法を、公式風にまとめた本。
1頁1項目なのでポイントがまとまっているし、どこから読んでもためになる。
(「呼応の副詞」は後ろに載ってるが、非常に重要。まずは一度軽めに全体を読んでしまおう)
◆古文文法書を読む生徒の中には、例文を飛ばしてしまう人がいるが、それはまずい。
文法を生きた知識として身につけるには例文を通した学習が必須。
この本には例文(古文)がでかでかと載ってる。例文を的確に訳せればこの本は卒業と言ってよい。
土屋先生が薦めるとおり、全体を三度は繰り返して読むように。
それなりの時間がかかるので、できれば高2くらいから取り組みたい。

精選 古典文法 改訂版(明治書院)
★★★☆☆(いわゆる教科書。高校で文法の教科書を配られた人はこれを使う必要はない)

◆いわゆる文法の「教科書」です。(検定済教科書ではないので、正確には副教材だが)
別にこの本じゃなくてもいいんだけど、現在Amazonで入手できるものの中では一番良いと思う。
◆レベルはやや高く、大学入試に対応できるようになっている。
数人の執筆者が書いており、監修も古文の大御所なので、内容は信頼できる。
◆面白みは無いかもしれないが、知識の整理には良い。特に、↓の「望月~実況中継」を使う人は、文法教科書で復習しながら進めるといい。
文法教科書が高校で渡されない人は、とりあえず一冊持っておこう。

望月古典文法講義の実況中継(上)(下)(語学春秋社)
★★☆☆☆~★★★★☆(志望校・古文にどれだけ時間を割けるかによる)

◆2冊本なんで、分量は多い(だから高2くらいから使いたい)んだけど、入試古文文法に関してはこれをおさえればOK!
非常にカバー率の高い本だ。入試ではこれ以外のことは出ないと思っていい。
◆一応初級者でも使えるんだけど、「高校の授業でひととおり文法を習った人が、穴を埋めていく」という使い方がいいかな。
講義調なので、ちょっとまとまりが悪いのが気になる。(まあ、まとめCDがついてるんだけどね)
だから自分が知らなかったことはカードにまとめたり、付箋(ポストイット)やマーカーでチェックするなりして、整理していこう
◆これと文法問題集を1冊やれば、文法に関しては怖い物なしだ。



<演習本> ※下にいくほど難
基礎からのジャンプアップノート古典文法・演習ドリル(旺文社)
★★★☆☆

簡単なまとめと、基礎レベル中心の演習問題。取り組みやすく作られてると思う。
入試対策としては心許ないので、文法問題を出す大学の受験生(主に私大)は、この後にもっと上のレベルの本をやってほしい。
◆これ単独でも十分使用可能だが、基礎の基礎からがっちり固めたい人は、「望月光のいちばんやさしい古典文法の本」と組み合わせてもいいだろう。
演習問題は何度も繰り返すのが重要だ。

ステップアップノート30古典文法基礎ドリル 3訂版(河合出版)
★★★★★

おそらく古文文法の本では一番売れている。
河合塾の複数の先生が共同で作っているので、問題のバランスがよく、生徒がひっかかりやすい点も抑えてあって良い。
◆「基礎事項のまとめ」+「基礎~やや易レベル」の練習問題だ。さくさく進むぞ。
センター・中堅私大までだったらこの本1冊だけでもいいだろう。
「ジャンプアップノート」と似てるけど、「ステップアップノート」の方がレベルがやや上。
全くの初学者にはきついと思う。「望月光のいちばんやさしい古典文法の本」をやってからにしよう。

短期集中 インテンシブ10 古典文法基礎(Z会出版)
★★★★☆
古典文法基礎(Z会のHPや提携書店で購入できます)
◆文法事項のまとめ+問題の構成。文法事項のまとめが充実している。
高校で一通り文法を学んだなら(少々忘れたところがあっても)問題なく使えるよ。
◆問題は、
・超短文を用いたトレーニング(非常に簡単なチェック問題)
・練習問題(標準レベル)
・実戦問題(中堅私大~MARCH・関関同立レベル。簡単な早稲田の問題も入る)
の3レベルに分かれている。
到達レベルは、「ステップアップノート」よりやや上か。
基礎~標準をしっかり演習したい人は「ステップアップノート」、
入試問題演習もやっていきたい人は「インテンシブ10 古典文法基礎」を選ぶといいだろう。

基礎から学べる入試古文文法(代々木ライブラリー)
★★★★☆

◆文法の入試問題演習本。解説は簡潔で要点をおさえている、という感じ。
高校で文法を習った人はいきなりこの本で演習するのもありだ。
難問は載ってないが、現在の入試だったらこれで十分対処できるだろう。

古文文法問題演習―基本テーマ30(河合出版)
★★★★☆

◆入試基礎~やや難まで。到達点としては、「基礎から学べる入試古文文法」とほぼ同レベル。
◆「基礎から学べる入試古文文法」を使うか、こちらを使うかは完全に好みで決めていいよ。
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この本は、「基礎から学びなおす」というより、文法好きの人、予備校の先生が読んでニンマリするという本なのです。
なにせ、著者山本氏の長年の指導経験の中で集めた、入試の珍問・奇問・出題ミスのオンパレード
今は絶版なので、面白く感じたところをピックアップしますね。




まず、助動詞の「ぬ」が「強意」か「完了」か、という問題。(p.110)
今の学校文法では、
「下に「む」「べし」などの推量の助動詞が来ると「強意」である」
と教えたりする。
でも、実際の入試ではこれらを「完了」とひとくくりにして、「強意」の代わりに「完了」としてもOKだった。そのあたりはゆるかったんですね。
まして、それらのどちらが正しいのか、と聞く設問もなかった。
が、H12年に「ぬべし」の「ぬ」が完了か強意か選ぶ問題が出たんですね。(答は強意)
山本氏は、こういうのは「文法ごっこ、分類ごっこ」で好ましくないとしている。
僕も同感ですね。僕の習ってた古文の先生(今では某大学名誉教授)は、単に「完了」と言ってた。「強意」の意味はそもそも認めてなかったよwこれは単に文法学上の分類の問題であって、そんなところにこだわっても仕方がない気がする。



一番面白いのは、「に」の識別騒動。
関西大学は、以前「に」の識別を毎年のように出していた。p.182にはすごい問題がのってる。
なんと、格助詞の「に」12に分類されていて、そこから正しいものを選ぶのだ!!(H2・関西大学・商)
選択肢は、
 1.場所を表す
 2.時間を表す
 3.対象を表す
 4.資格を表す
 …
 11.受身文の原動者を示す
 12.使役文の実動者を示す
となっている。
「原動者」「実動者」というのも物々しいw普通の教科書にはもちろん書いてありません。

シロートの受験生には(いや、プロの講師にも)手が負えませんでw
実際、O社、G社の解答にもしばしば間違いがあったらしい。いや、あまり出版社を責められませんよ。どう見ても出題者の自己満足ですから。
しかし、この問題はH8を最後に姿を消す。
その問題を出していた教授が退官したせいでしょうね。
受験生にとってはいい迷惑、という問題でした。



今の古文の教え方への批判もある。
ちまたでは、「『て』で主語はかわらない」(p.162)という公式がちらほら言われてるそうなんですね。
実際には「て」の前後で主語が変わる例もあるわけです。そこが入試でも聞かれます。というか、そここそが狙われる。
で、山本氏がその問題にあたり、生徒に説明したとき、「『て』で主語はかわらないんじゃないですか」と質問しにきた子がいたんだと。
事実、主語が変わってるのだから、その公式が間違っているとしか言い様がない。
が、その生徒は納得しない。結局、憮然とした表情で引き上げたとか。

山本氏は、このようないい加減な「公式」に憤りを感じている。氏は、そんな公式をふりかざす人は「いわば「素人」であることを、自ら告白している」(p.170)と、手厳しい。
ぼくも、「『て』で主語はかわらない」なんて、最近の受験参考書を見るまで知らなかったなあ。
文法を専門にしている人々は、絶対そんなこと言わない。
むしろ、古文では現在と違い、「『て』で主語が変わることもある」のです。
塚原鉄雄氏がそのあたりを詳しく述べておられますよ。



この本は、やっかいな問題がとりあげられており、それを読むのが面白いのですが、普通の受験生に役立つことも書いてあるよ。
形容動詞か「名詞+ナリ」かの識別がそう。(センターにも出ました)
形容動詞の見分け方の一つに、
「ら・り・れ・ろ・か・やか・らか・げ」がついていたら形容動詞
というのがあるのだそうです。
順に例を挙げると、
「いたづなり、さかなり、あはなり、おぼなり、おろなり、あざやかなり、あきらかなり、さむなり」
があります。これらは形容動詞。
このパターンが8割を占めるそうです。
これに加え、
「優なり、切なり」という「漢字音読み+なり」、
古文単語集に載っていて意味が大事な「あだなり、あてなり…」を覚えれば、ほぼ全部カバーできるのだ。
ま、
「ら・り・れ・ろ・か・やか・らか・げ」がついていたら形容動詞
を覚え、あとはこれに当てはまらないものを単語集でチェックする、というのが実用的ですかね。
この話は、実戦トレーニング古文単語

p.138,142にも載っているので、合わせてごらんください。



書店で何気なく手にとり、絶版前に買ったのですが、文法好きのぼくにとっては、良い買い物でした。
これはシリーズもので、他教科もたくさん出されているが(まだ販売中のものもある)、このシリーズは「(受験生が)基礎から学びなおす」というより、「社会人が昔を振り返って読んでみる」、というほうがふさわしいものが多い。
受験参考書は中身を確かめて、自分の二ーズに合うかチェックしてから買おうね。

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山本先生の、入試古文についての考え方が述べられている一書。

共通一次試験(昭和54年)あたりから古文の時間数が激減したと書いてある。
その以前、高校では古文の名文丸暗記をせっせとやらせていたらしい。
それはよくわかる。
ぼくは文法専門だけど、古文の言い回しが体にしみこまないと使い物にならんのだわ。
ぼくのとこは大学院入試で古文が課されるのだけど、その対策に源氏物語を読みました。

新編日本古典文学全集源氏物語

を買って来て、読む。
特別なことはしてません。これは下に全訳がついているので、
 2~3ページ意味を追って読む→全訳で確認→2~3度音読
これを1日20ページほどやります。翌日には、前日の復習を音読で行います。
これだけですよ。でも、古文の力は格段に上った(と思う)。
少なくとも、中古の作品を読むには困りません。

それはおいといて、今は山本先生のいう共通一次のときより、さらに古文の学習時間が少なくなっている。いわんや漢文をや。もう絶望的である。
これは高校の古文の先生から聞いた話だ。
理系だと週1程度、というところもある。
でも、古文は語学だから、相当量の原文を読み、慣れるということが必須である。
今の受験生見てると、単語と文法できれば古文が読めると思っている人が多い。
原理的にはそうなのだが、問題は、その単語・文法が解釈に結びついていないということ。例文をおろそかにしているので、自らの血肉になっていない。
必ず例文を音読すること!
これが大切である。
まあ、進学校は相当量の古文を宿題に課してるところが多いですね。量をただこなすだけだと読みがいい加減になる危険性もあるが…
それでも、読みなれているというのは非常に大きい。
学校の古文の授業が適当な人は、自分でどんどん学習する必要がある。
古文学習の本道は、原文(長文)を読み、意味をとること。独学でも出来るよ。実際、僕がそうだったから。

肝心の本書のレビューがそっちのけでしたね(笑)
記事を新たにして追加しようと思います。

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