元塾講師による本のご紹介ブログ。大学入試参考書がメインです。

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古語辞典は、全ての例文に訳がついている全訳系のものと、そうでない一般のものとにわかれます。
今は全訳全盛時代。
中高生に売れるのは、圧倒的に、例文に訳がついてるものなので、出版社も全訳系に力を入れているのだそうです。
全訳系の辞書は学習に特化しているものが多い。
ぼくが高校生のときは、全訳古語辞典を学校のロッカーに置いて、教科書の予習に使っていた(学校の授業の予習は学校でやってました)。教科書と全く同じ文が例文に載っていることもあるので、そういう例文にはマーカーを引いて覚える。
家では旺文社古語辞典を使ってた。収録語数が多いから買ったのだが、やっぱり例文に全訳ついてる方が安心だなと思った(特に中学生高校生の頃は)。

高校生が学習用に使うのなら全訳系の方ががぜん効率がよい。
古語辞典は高校で採用されたのを使えばよいが、例文に全訳がついていなかったら、
全訳付きのものに変えたほうがいいかもしれない。(辞典は高いですが…)

以下、使いやすく簡単なものから挙げていきます。
無難なのは『旺文社 全訳古語辞典』と『三省堂 全訳読解古語辞典』なので、迷ったらこれらにするといいと思います。
『岩波古語辞典』は高校生は避けたほうがよいでしょう。



旺文社 全訳古語辞典

同出版社の「旺文社古語辞典」と比べると収録語数が少ないが、大学入試レベルにはこれでも十分。
例文が有名な出典からとられており、学習に役立つ。もちろん全例現代語訳つき。
特に教科書の学習に合うと思います。
文法的説明も、変わった用語が使われず、高校の教科書とほぼ同じ。この点も受験生にはありがたい。
気に入った例文はマーカーなどでチェックするといいぞ。
コンパクトサイズのものも出ています。

最新 詳解古語辞典

例文に訳だけではなく、説明がつけられている小型辞典ながら、丁寧で血肉の通った記述は侮れない。
豆知識的な解説も多く、知ってる語を調べても、「へー」と思うことがある。
ただ、収録語数は少なめで、語義も不足気味。下手すると大学入試にも足りない。
受験生だったら、サブ辞書(時折参考にする、2冊目の辞書)として使うのがお薦め。
中学や高校の先生が手元に置いておいて、生徒への説明の一助にするのがいいのかもしれない。

三省堂 全訳読解古語辞典
 ←右は一回り小さい「小型版」
古語辞典で1・2を争うほどよく売れていると思う。
バランスの良い辞典。ところどころ、「読解のために」というミニコラムがついていて、古文好きな人が読むと面白い。
例文は全部現代語訳つき。

全訳・全解古語辞典

大学入試~大学教養レベルまで幅広く使える。例文はもちろん全訳つき。
このレベルのものとしては語誌が充実している。
また、助詞・助動詞類の文法的説明が非常に詳しい。
(説明は大学入試レベルを超えていることがあるので、受験生は無理して覚えようと思わなくていい。ただ、古文が好きな人は読むと面白い)
その項目の執筆者が明記されているので、書く方も気合いが入るのだろう。
大学で専門に古文をやる人も参考になることがしばしばあると思う。

旺文社古語辞典

中型辞典では最大レベルの収録語数で頼りになる。一般向き。
癖がないので僕も普通の用向きにはこれを使用します。頻繁に改訂されており、安定感がある。
逆に、悪く言えば教科書的。訳語が通り一遍で、繊細さに欠けている感じもする。
大学入試用にも利用できるが、ほとんどの例文に現代語訳がついていないので注意
普通の受験生は例文に訳がついている、「全訳~」というものを買った方が学習がはかどるでしょう。
ただ、別冊付録「助動詞・助詞の早わかり表」と「百人一首の手引き」は入試用としても大いに使えます。

岩波古語辞典

大野晋氏がほとんどを手がけられた辞書。
語義の立て方が細かく、訳語も非常にこなれている。語のニュアンスがよくわかる。
特に上代~中古に強い(と思う)。
大学の先生もこの辞書を利用されている方が多いですね。
上代特殊仮名遣いに関する語に、発音が示してあるのも特徴。これは大野氏ならでは。
ただ、語源の記述は独特で、他の辞書と異なることが多い。かなり怪しいこともあるので、そこは無視した方がよい。
巻末に助詞・助動詞の詳細な説明があるが、これも著者独自の考えが多く含まれているので、(特に専門課程の人が使う時には)鵜呑みにしないほうがよいと思われる。
動詞は連用形の形で載っているので引くときは注意。
受験生には不向きです。大学生になってから持とう。
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漢和辞典の話です。

漢和辞典は引きにくく、気軽には使えないように感じる人が多いのではなかろうか。

「精」を調べるのに、音読みの「セイ」から調べると、世・生・性…といくつもの漢字がヒットする。ここから見つけるのは大変だ。
しかし、もしも訓読みの「くわしい」を知っていれば、すぐに目当ての漢字を見つけられるのだ。
音訓索引、特に「訓」から調べると、漢和辞典ははるかに速く引けるようになるぞ!

漢文を読むのにも漢和辞典は必須だぞ。
漢文の教科書に出てくる漢字でも、知らないものは結構あるはず。漢和辞典をどんどん使おう!

センター試験にも熟語中の漢字の意味を問う問題があるが、これは、日ごろ漢和辞典を引く中で学習するのが一番なのだ。

以下、僕のおすすめです。


全訳漢辞海 第三版

僕の一番のオススメ。中国語学の成果をとりいれた新しい辞書。
◆全体的に、漢文の読解のために作られた辞書という印象だ。教育的配慮もなされている。

◆語義を品詞分類しているところに特徴がある。また、詳細な文法・語法欄が有用でためになる。
◆漢文学習に役立つように作られている。
付録の「漢文読解の基礎」(20ページ以上)は非常に有用なので、読むといい。
用例には全て、日本語訳に加え、書き下し文もついているので、学習者にとってありがたい。

※現在出ているのは第三版。
・句法・語義が強化された。
・付録の「漢文読解の基礎」は例文に大学入試センター試験の過去出題例を掲示するようになった。が、ここはセンター試験の本文の一部を、例文として採ってきただけということのようだ。(そこが設問に必ずしも関わっているわけではない)
まあ、それにしても、読んで有益なことは旧版同様です。
「訓読のための日本語文法」を追加。これはかなり嬉しい。漢文訓読に使われる文法・語法はちょっと特殊であって、中古和文の文法(高校の古文の授業で習う文法)とは異なる部分がある。高校の先生方の参考になるだろうし、意欲的な受験生が読んでも得るところがある。ページ数も少ないしね。

新漢語林(第二版)

◆著者の方々は、「大漢和」で有名な諸橋轍次氏のお弟子さんにあたる。
引きやすく、ストレスを感じない。
信頼できる内容で、高校で採用しているところも多い。
ぼくも高校時代にはこの辞書を使っていました。
◆付録も充実。
特に、
主要句形解説、同訓意義一覧、字体についての解説、筆順の原則
は非常に有用。「同訓意義一覧」は同じ訓み(よみ)で意味のニュアンスの違いを説明。「字体についての解説」は、明朝体の活字(印刷される形)と手書きとの違いを指摘。

◆解字がちょっと情報量不足と感じることもあるが…基本的に学習漢和なので仕方ないか。
高校生が使う分には問題ないでしょう。

※第二版では、助字解説が充実。また、教科書教材から用例が追加された。
より学習者に配慮された辞書になった。



おまけ
漢和辞典に訊け! (ちくま新書)

著者は漢和辞典の編集者。辞書の使い方や、裏話がためになる。
巻末には、おすすめの漢和辞典も載ってます。

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