元塾講師による本のご紹介ブログ。大学入試参考書がメインです。

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今日は『総合的研究化学』のレビューです。

◆いわゆる辞書的参考書だね。わからないことの調べ用に役立つし、高校・予備校の授業と合わせて読んでいくのもいい。
受験生は例題、特別講義中心にやっていくといいかな。

◆新課程用だけど、単元の順序が違うことと、第7編の「化学と人間生活」が不要なことをふまえていれば、現在高2以上の人も十分利用できます。
常に手元に置いて参照したい、とてもおすすめの本だ。



総合的研究化学
おすすめ度:★★★★★(最大で星5つ)


◆まず、この本の内容を、難易度ごとにおおざっぱにわけてみます。
(1)教科書+それをかみ砕いてまたは教科書を深く説明した部分 →本文、Point!、公式、Q&A
(2)教科書から入試レベルへの橋渡しの部分 →例題、実験
(3)難関大入試で差がつく部分 →特別講義、Zoom upの一部
(4)高校範囲外で入試に無関係な部分 →Zoom upの一部、コラム

◆単純なページ数としては、(1)(2)で全体の7割以上といったところでしょうか。ここが大半を占めるので、標準レベルの大学を受ける人にも大いに役立つだろう。
◆(3)はページ数としては全体の1割くらいだが、内容が濃いです。難関大志望者じゃなければ、特別講義の「気体の製法・性質」以外は読まなくてもいいっす。
◆(4)の高校範囲外の部分は量は多くなく、暗記・理解を助けるため、または興味を引き立てるために導入されているといった感じ。

◆以下、(1)~(3)の各項目についてやや詳しく紹介します。



(1)教科書+それをかみ砕いてまたは教科書を深く説明した部分
◆前述のとおり、この本の中心となるところです。
教科書を基調とし、それを深めた記述と感じられる。教科書(高校での授業)から自然と接続できるのが非常に良心的だ。

◆著者の妻木貴雄氏は高校で教鞭をとられており、NHK高校講座にも出演されている方だ。
なるほど、予備校講師の書いた本のように華々しくはないが、生徒のことを考えて作られていると感じた。
旺文社の編集もよいのだろう。

この本の良さの一つは見やすさであります。
フルカラーだし、レイアウトがよい。覚えるべきポイントも提示してくれている。「読もう」という気にさせてくれる作りだ。
このおかげで、自然自然と関連事項が頭に入る(と僕は思う)。
また、カラーの文字で補足説明を細かく書いてくれるので理解が進む。
◆理論分野では、酸化還元、熱化学方程式の計算のあたりが特に分かりやすく書かれていると感じた。

◆「Point!」、「公式」の箇所は特に重要なところ。
定期テスト~センターレベルでも大事なので、ここだけはどの学習者もおさえるように。
「Q&A」のコーナーは単なる補足ではなく、重要なことが載っているので必ず目を通すようにしよう。



(2)教科書から入試レベルへの橋渡しの部分
◆例題は、教科書レベル~入試やや難レベルまで幅広い。(p.44の東北大の問題は初見では難しい)
ただ、難易度にかかわらず、ほとんどが大事な問題だ。例題は知識を確認し、また、理解を進めるためのもの。必ず取り組もう。
◆初見の段階ではたとえ解けなくてもよい。
問題文をよく読み、解説を読み、理解につとめよう。
1週間ほど後に再チャレンジ。解説に書いてあったことを再現・復元するような感じで解こう
(つまり解説の解法を真似するということ。化学の学習ではこれが大事)

高3・浪人の受験生は例題を中心に復習していくのも賢いやり方だ。
各章ごとに区切って例題を解いていって、つまずいたら前後を復習するというのが効率が良いだろう。
それを終えたら、他の出版社の問題集(セミナーや重要問題集など)に取り組もう。
知識が有機的につながるはずだ。

「実験」のコーナーは上位大を受ける人は目を通したい。
化学の入試問題は有名な実験を下敷きにして作問されていることが多い。
p.77のアボガドロ定数の測定、p.107の分子量の測定なんかとても大事だ。
(p.107の応用問題がp.121に載っている。東工大の問題で、いきなり出されたら非常に難しいが、p.107を踏まえていれば出題意図をくみ取りやすい)



(3)難関大入試で差がつく部分
難関大受験者用に「特別講義」というコーナーが全6回ある。
これはこの本の目玉の1つと言っていいだろう。以下、難関大学の傾向と絡めて簡単に紹介を。

1.結晶格子東工大では非常によく出される。(普通の)高校ではそんなに難しい問題は習わないので、ここでしっかり対策を。結晶格子の図を、理解しながら自分で紙に書くのも良い勉強になる。

2.蒸気圧…ここは難しい。東大は「気体」に関する問題を好んで出すが、難問には「蒸気圧」が絡むことが多い。きついところだが着実に理解し、他書で練習を積みたい。

3.気体の溶解と浸透圧…計算が中心となるところ。比較的簡単なとこじゃないかな。

4.反応速度と化学平衡化学平衡自体が上位大・難関大では頻出。「特別講義」に限らず、第4編はしっかり学習したい。特に京大受験生は十分演習を。計算など、最初は辛いが、パターン性が強いので慣れれば得点源になります。

5.気体の製法・性質…気体の製法はセンターレベルでも普通に出される。実験装置(キップの装置など)は東大志望者は特におさえたいところ。

6.有機化合物の構造決定上位大・難関大では大学問わず非常に重要。ここを訓練すれば点の稼ぎ所になる。他書で演習を。



『総合的研究化学』に飽きたらずもっと高度なことを知りたい人は、駿台の「原点からの化学」シリーズを読むと良いかと。
全5冊です。↓は有機化学。

こと入試化学に限っては、『総合的研究化学』で足りると思うけどね。
また、独学でやってる人が「原点からの化学」シリーズを読むと消化不良になる危険性があるので、
欲張らず、補助的に読むことをオススメします。
コメント
この記事へのコメント
詳しい説明のある教科書的な本を探しています。
辞書的な本だとチャート式、新研究等もありますが、それらと比べても利用価値の高い本でしょうか?
2012/10/18(木) 23:41 | URL | コナ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
> 詳しい説明のある教科書的な本を探しています。
> 辞書的な本だとチャート式、新研究等もありますが、それらと比べても利用価値の高い本でしょうか?
チャートは教科書プラスアルファという感じで、見やすいですが、総合的研究よりは説明が行き届いてないですね。
レベルも落ちます。(単純にページ数から言ってチャートが480ページ、総合的研究が624ページなので仕方無い)
ただ、チャートは覚えやすい工夫がしてあり、高校の授業と合わせて使う分には良いです。

新研究は、高度ですね。非常に細かいところまで載っているけど、教科書から接続できるかは疑問です。
新研究は高校範囲を超えていて、全体としては総合的研究よりハイレベルでしょうが、
総合的研究の方が新研究より詳しい部分もあります。(有機化学の不飽和度など)
新研究は紙面構成的にも相当読みにくい、見にくいというのがネックです。

詳しさ・レベル:チャート<<総合的研究≦新研究
見やすさ:新研究<<<チャート=総合的研究
という感じで、トータルとしては僕は総合的研究を薦めます。
ただ各人の好みがあるでしょうし、上記を考慮して自分の好み・目的に合わせた本を選ぶとよいかと思います。
2012/10/19(金) 23:41 | URL | 藤裏 薫 #-[ 編集]
返信ありがとうございます、とても参考になりました。
総合的研究を使ってみようと思います!
2012/10/20(土) 20:29 | URL | コナ #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2015/10/04(日) 01:01 | | #[ 編集]
東大理1対策として
総合的研究化学→化学基礎問題精講→重問→化学標準問題精講→模試問・過去問
でいいですか?
原点からの化学も必要ですか?
2016/02/04(木) 12:30 | URL | とさ #-[ 編集]
Re: タイトルなし
> 東大理1対策として
> 総合的研究化学→化学基礎問題精講→重問→化学標準問題精講→模試問・過去問
> でいいですか?
> 原点からの化学も必要ですか?

学校配布の問題集が出来ていればいきなり重問でよいです。
原点からの化学は必要というわけではありません。
重問→化学標準問題精講が基本的な流れ、総合的研究化学は随時参照用で進めればよいでしょう。
2016/02/04(木) 22:11 | URL | 橘 薫 #-[ 編集]
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